Catastrophic Space - Post-Soviet Movie Subway Representation - Cover Image

カタストロフィの空間 ― ポスト・ソ連映画の地下鉄表象 ―
Catastrophic Space - Post-Soviet Movie Subway Representation -

Author(s): Akiko Honda
Subject(s): Cultural history, Architecture, Rural and urban sociology, Post-War period (1950 - 1989), Transformation Period (1990 - 2010), Film / Cinema / Cinematography
Published by: Slavic Research Center
Keywords: Representation of the subway in Russian cinematography; subway space formed during the Stalin period; post-Soviet subway spaces;

Summary/Abstract: 「まるでおとぎ話みたい!」——子ども向け映画『アリヨーシャ•プチツィンの精神的成長 (Алёша Птицын вырабатывает характер)(1953年)では、モスクワ地下鉄の環状線《コ ムソモーリスカヤ》駅【図1】を初めて見た少女が、その巨大で壮麗な空間を前に思わず感嘆の声をあげる【図2】。このような地下鉄駅の描写や演出の背後で働いていたメカニズム、すなわちモスクワの地下鉄駅はおとぎ話の中の宮殿のように設計•建設されねばならないという言説を、現代ロシアの思想家ミハイル•ルィクリンは「地下鉄言説(метродискурс)」⑵と名付けている。1935年に最初の区間が開通すると同時に、地下鉄言説はさまざまなメディアを通じて広められ、そしてそれを反復•強化するかのように、これ以降に建設された地下鉄駅のデザインはますます宮殿に近づいていった。地下鉄開発はスターリンの首都再開発総計画、通称ゲンプラン(генплан)の一部に組み込まれていたが、これらの地下鉄駅のイメージは新生モスクワの卓越性G)を証しするものとして機能した。

  • Issue Year: 2021
  • Issue No: 68
  • Page Range: 123-166
  • Page Count: 44
  • Language: Japanese